小さなお店を経営していると、
「貸し切り営業は受けた方がいいのか?」
と悩むことも多いのではないでしょうか。
貸し切り営業は
- 売り上げを確保しやすい
- お客さんとの距離も近くなる
というように、小さなお店にとって相性の良い営業スタイルのひとつ。
一方で単価設定や食材の準備、キャンセル対応などについて事前に考えておかないと
- 思っていたより売り上げが伸びない
- 予想以上にロスが増えた
といったこともあります。
そこで今回は2016年から夫婦で飲食店を経営しており、貸し切り営業を年に数回経験している僕が
- 小さなお店が貸し切り営業をするメリットと注意点
- 実体験から分かった基準づくりの大切さ
について解説します。
貸し切りを受けて大きなトラブルはありませんでしたが、実際にやってみて「こうしたほうがよかった」と思ったことがあるのは事実。
- 貸し切りを受けていきたいけど、どのような対応をすればいいかわからない
- 貸し切りについてのメリットや注意点を知っておきたい
このような方には参考になるので最後までご覧ください。
小さなお店が貸し切り営業をするメリット

通常の営業とは違ったメリットが貸し切りにはあります。
具体的に見ていきましょう。
売り上げが確保できる
貸し切りの一番のメリットは何といっても売り上げが確保できること。
通常の営業ならある程度の売り上げ見込みがあっても、実際はお店を開けてみないとわかりません。

「いつも忙しいのに今日はなぜか暇…」という日はありますよね
貸し切りなら人数に応じた売り上げがほぼ確定するので、心理的に安心できます。
「今日は○○円の売り上げがある」
とわかっているのは、夫婦でしているような小さいお店にとってはかなりのメリットですね。
食材のロス減る
飲食店は仕込みの量を「ある程度の予想」で判断していますが、どの食材がどのくらいの量でるかは営業してみないとわかりません。
うまく調節できなければロスにつながってしまいます。
ロスが増えれば原価が高くなり利益を圧迫しますが、貸し切りは
- 来店人数
- 料理の内容
が事前に決まっているので、ロスをかなり減らせます。
貸し切りは売り上げが確保できてロスが減るので利益の面からみるかなりのプラス要素ですね。
人員調整しやすい
飲食店のとって大きい経費のひとつ人件費。
シフト管理で難しいのは
- 人数が少ないときに忙しくなり
- アルバイトが多いときに限って暇になる
というように、調整が難しいところです。
貸し切り営業の場合は、来店人数や忙しさの流れが事前に把握できるので、必要な人数を計画的に配置できます。
人数や忙しさの流れが事前にわかっているので必要な従業員を配置しやすいです。

つまり人件費のコントロールがしやすいということですね
常連化につながる
貸し切り営業は従業員と予約してくれたお客さんだけの空間になるので、会話がはずみ、より距離を縮めやすいです。
その結果、忘年会や送別会などで続けて利用してくれることも珍しくありません。

実際僕のお店でも毎年貸し切りで利用してくれているお客さんがいます。
繰り返し利用してくれると安定した売り上げはもちろんですが、お客さんが求めている料理やサービスも把握できるのでより満足度は高まります。
貸し切りは売り上げ面だけでなく、常連づくりという点でも優れていますね。
常連さんとの距離がさらに縮まった貸し切り
日ごろからランチで利用してくれているお客さんから、貸し切りの相談をいただいたことがありました。
打ち合わせをかねて何度か連絡を取っている中で
「僕もよかったら混ぜてくださいね(笑)」
と冗談交じりで伝えると、先方もかなり嬉しかったようで、当日は社長自ら
「マスターもどうぞ」と声をかけていただき、一緒にお酒をのませてもらいました。

その常連さんとはそれからさらに仲良くさせてもらっていて、毎年のように貸し切りで利用してもらってます
こうした関係性ができるのも小さなお店ならではの貸し切り営業の魅力ですね。
貸し切り営業の注意点

売り上げや利益の面から多くのメリットがある貸し切りですが、注意点もあります。
気を付けておかないと、せっかくのメリットを台無しにする恐れもあるのでしっかり把握しておきましょう。
通常営業より売り上げが伸びない場合もある
これは意外に思うかもしれませんが貸し切りをすることで売り上げが伸びないケースもあります。
例として営業時間17時~21時で平均売り上げが4万のお店が
- 17時~19時まで
- 3000円×10名
- 貸し切りの売り上げは3万
このような予約を受けたとすると、貸し切り後の営業で1万以上あれば平均より売り上げが高くなります。
しかし予約時間が18時~20時だとすれば
- 予約時間の前後30分ほどは用意と片付けの時間が必要
- 通常営業は20時半ごろからになるので売り上げが見込みにくい
- 売り上げは予約の3万のみ
といったパターンもあり得ます。
特に少人数で営業しているお店ほど用意と片付けの時間が必要になるので、予約だけの営業になることも多いです。

客単価は高くなる一方で売り上げが伸びないこともあるのは抑えておきましょう。
売り上げ保証を設定する基準を決めておく
売り上げ保証とは人数に関係なく、最低限発生する金額のことです。
貸し切りは売り上げが伸びにくい可能性があることは解説しました。
そのため通常の売り上げ以上の金額を設定しておく方が無難。
例えば
- 通常の売り上げ4万
- 10名の貸し切りをお願いされたとき
欠席者が1人出たとしても総額で4万の支払いをしてもらう、ということです。
特に忘年会などは季節柄、欠席者がでるのも珍しくありません。
ただし売り上げ保証を事前に説明していても、実際に納得して支払ってくれるお客さんは少ないです。そのため僕のお店では
- 貸し切り可能人数は少し余裕をもって伝える
- 料理単価を少し高めに設定する
- 万が一最低人数を下回っても「特別に」と伝えて追加料金はいただかない
という風にしています。
貸し切り営業では通常営業より売り上げが下がる可能性もありますが、金額を優先しすぎると
長く来てくれるお客さんを失う可能性もあります。
短期の売り上げより、長く利用してもらえる関係を優先する。
経営にはこのような視点も持っておくといいですね。
キャンセル規定を決めておく
悲しいことに貸し切りに限らず予約の無断キャンセルは珍しいことではありません。
仮に貸し切りで受けていた予約がドタキャンになれば
- 食材や人員のロスが大きい
- 「貸し切り」となっているので通常の来店も見込みにくい
- 期待していた売り上げがなくなることによる精神的ダメージ
と、金銭的、精神的に負担がかかります。
これを少しでも緩和するためにキャンセル料を設定しておくのも手段のひとつ。
具体的には
- ○○日前を過ぎての予約の中止はキャンセル料がかかる
- 人数の増減はいつからキャンセル料が発生するか
このあたりを整理しておくと、不要なトラブルを減らせれます。
キャンセル規定を明確にしておいても、完全にドタキャンを防げるわけではないので
- 事前の支払いをお願いする
- 予約サイトの活用
といったことも、状況に応じて検討してもいいかもしれませんね。
人数と日程の確定期限を決めておく
貸し切り営業の問い合わせがあった時すぐに人数や日程が決まることは少ないはずです。
人数や日程がいつまでも確定しなければ、他の予約に影響が出るので期限を決めておく必要があります。
お店の規模にもよりますが遅くても1週間前には確定しておきたいところ。
また貸し切りが決まれば店内やSNSで告知しておくと、予約の日の来店を減らせれます。

僕のお店ではまずは貸し切りできる人数が集まるかどうかだけ聞いて、多少の人数変更は前日でもOKにしてます。
予約以外のお客さんのためにも期限は早めに確定させておくといいですね。
対応できる料理内容や範囲を決める
貸し切りだと
- アレルギーを考慮した料理をお願いしたい
- ドリンクんなどの持ち込み
- ○○の料理が食べたい
といった、普段とは違ったリクエストを求めるお客さんは一定数います。
僕も過去には
- 持ち込み許可
- お客さんのリクエストにあった料理内容
- 営業時間の延長
といった対応をしました。
貸し切りだと通常のオーダーがない分、普段受けれないことでも柔軟に対応すると満足度は高まるでしょう。
備品・食器不足に備えておく
次は実務での注意点ですが、貸し切りでの営業は
- 人数が多い
- 必然的に使用する食器も多い
- 忙しく洗う時間が取れない可能性
といったことを考え、いつも以上に食器類の用意は多めにしておく必要があります。
特に注意したいのは、飲み放題を受けた時のグラスの数。

10名様の予約でひとり3杯飲むとしても、10×3=30個のグラスが必要です。
もちろん途中で洗えればそこまでの数はいりませんが、当日忙しいことを考えると「洗えない前提」で用意しておくほうがいいでしょう。
また
- とりわけ用のトング
- マドラー
など、貸し切りならではの備品の用意も見落とさないようにしましょう。
僕の貸し切り失敗談 やってみて分かった基準づくりの大切さ

最初に貸し切りを受けたときは、「まずは予約を増やしたい」という思いが強く、単価を少し低めに設定していました。
「せっかくだからいつもとは違った料理を食べてもらいたい」
このようない思いから貸し切り専用の食材を多く使った結果、ロスにつながることも。
またキャンセル料のルールを決めていなかったため、人数が少し減っただけでも当初想定していた売り上げに届かないこともありました。

大きなトラブルにはなりませんでしたが、「基準づくり」の大切さを実感しました
大きなトラブルではありませんでしたが、「あらかじめ基準を決めておくこと」の大切さを実感した経験です
まとめ 貸し切り営業は基準づくりが成功のカギ
今回は小さなお店が貸し切り営業をするメリットや注意点について解説しました。
貸し切りでの営業は
- 売り上げを確保しやすい
- 食材ロスや人件費のコントロールしやすい
と、小さなお店にとってメリットも多いです。
またお客さんとの距離が近くなり、常連化やファンづくりにつながるきっかけにもなることを考えると今後のお店にとってもプラス。
その一方で
- 通常営業の機会が減る
- 常連のお客さんとのバランス
- 売り上げ保証
など、事前に考えておくべきポイントもあります。
大切なのは貸し切りを「なんとなく受ける」のではなく
- 売り上げ
- キャンセル規定
- 対応範囲
などについて自分のお店の基準を決めておくこと。
「貸し切りができるお店」として認知されれば、安定した経営につながる可能性も高まります。
注意点を理解したうえで、無理のない形で予約を獲得していきましょう。
小さなお店の経営は、売り上げを作る工夫と同時に、支出をコントロールすることも大切です。
お客さんが少ない時期でもお店を安定して続ける考え方については、こちらの記事でも解説しています。▷【なぜつぶれない?】客がいないのに続く飲食店の秘密と生き残りのコツ
ではでは。

