ホテルの調理師=華やかでかっこいい仕事。
そんなイメージを持ってホテルへ就職する方は多いでしょう。
就職したホテルによっては
- 一流の料理人と働ける
- 技術が身につく
- うまくキャリアを積めば満足のいく給料を得られる
といった可能性もあるので、憧れる方が多いのも納得できますが、ホテルならではの「きつさ」があるのも事実。

僕も高校を卒業後に選んだ就職先はホテルですが、約7年間働いたホテルの調理師としての感想は正直「きつい」です
ホテルで働いたことにより成長できた部分もある反面、長時間労働や人間関係などのきつさを考えると、正直もう二度と戻りたくありません。
そこで今回は、僕の実体験をもとにホテル調理師の
- きつい理由
- メリット
- 1日の流れ
を詳しく解説していきます。

ホテルの調理師なんて選ばなきゃよかった…
と後悔しないためにも、ホテルの調理師として働きたいと思っている方は最後までご覧ください。
ただホテルの調理師に限らず、飲食店はブラックな職場が多いため基本的に就職はオススメしません。

どうしても働きたい場合は転職エージェントを活用し、ホワイトな企業を選ぶようにしましょう
労働時間が長いのに、給料が低いというような職場を避けたいのなら登録だけでもしておくといいでしょう。
飲食店に就職を考えている方はこちらの記事も参考にしてください。
ホテルの調理師は本当にきつい?
まず結論をお伝えすると、職場にもよりますがきついことが多いです。
特に入社して数年間は
- 年収が低く
- 仕事を覚えれていないので怒られることが多い
のでよりきついと感じやすく、僕自身何度も「辞めよう…」と思っていました。

僕が働いていたホテルでは、休みが月に6回ほどありましたが
- 仕込みができていない
- 早く仕事を覚えないといけない
このような理由から休みの日でもほとんどが仕事でした。

休みの日でも先輩から呼び出されることもあり、ゆっくり休めたのは月に2、3回です
ある程度仕事を覚えてくるときついと感じることは減り、少しずつ気持ちは楽になります。
いかに早く仕事を覚え戦力になれるか?が、ホテルの調理師として長く続けれるポイントでしょう。
ホテルの調理師がきつい8つの理由
僕自身が7年間ホテルで働いてきて、
「これは本当にきつかった…」と感じた理由を8つにまとめました。
これからホテルで働こうと思っている方は、参考にしてください。

とにかく労働時間が長い
ホテルは朝食からディナー、さらには宴会や婚礼など1日中稼働している施設ですが、調理師の勤務時間も長くなりがちで、1日12時間以上働くのも珍しくありません。
仕込み、その日の営業や片付けが終わったと思っても雑務が待ってます。
- 冷蔵、冷凍庫の温度の記入
- 業務日報
- 発注するための電話やFAX
このような作業は上司や先輩ではなく、新入社員がする場合が多いのでさらに労働時間が長くなるので、体力に自信がない方はやめておくのが無難でしょう。
休みが少なく、実質的にはもっと少ない
月に6日程度の公休があっても、実際には休日出勤や呼び出しがあるためもっと少なくなります。
「仕込みが遅れているから明日来て」
「急な団体予約が入ったから手伝って」
こんな理由で、プライベートの予定が潰れることも珍しくありません。
上司の考えや会社の体質によって休みの回数は変わってくるので、公休日をしっかり確保したい方ほどホワイト企業のホテルを選ぶようにしましょう。
店休日がない
ホテルは基本的に年中無休なので当然、店舗内のレストランも店休日がないのが普通です。
店休日がないといってもローテーションで休んでいくので、普段は特に気にならないかもしれません。
しかし従業員が不足してくると必然的に休みの回数は減っていき、10日以上続けて働くこともあります。

店休日があると確実に休める日ができるので精神的に全然違います。
また店休日がないことがかなり負担になるのが年末年始です。
ほとんどの方が休んでいる
- 大晦日
- お正月
に働かなければいけないのは、「嫌だ」という方がほとんどだと思います。
僕自身も経験がありますが、大晦日は仕事の関係で職場で年を越してお正月から仕事をすることがほとんどです。

お正月に働くのは精神的にきついね
僕はもうホテルで働きたくないと思っていますが、年末年始に休めないのが大きい理由です。
せめてお正月だけでもゆっくり休みたいのであれば、ホテルの調理師には就職しない方がいいでしょう。
上下関係が特に厳しい
ホテルで調理師をしている方は仕事に誇りを持っている方が多いのでめちゃくちゃ厳しいです。
僕も入社したての頃は毎日のように怒られていましたし、叩かれたりもしていました。
先輩から仕事を教えてくることは少なく、自分から主体的に行動しないと成長しません。
仕事に対し厳しかったので技術を磨けた側面もありますが、改めて考えてみてもきつかったです。

- 厳しすぎる環境は苦手
- どちらかといえば受け身
といった方はホテルを選ばない方がいいかもしれませんね。
転勤がある
転勤があると色々な場所で働け、料理の幅が広がるので悪いこととは限りませんが
- 新しい場所に慣れなければいけない
- 引っ越しの作業が大変
- 人間関係がリセットされる
といったことを考えると「きつい」といえます。
どうしても地元を離れたくない方にとってはかなりのデメリットでしょう。
もしくは家族ができると
- 学校などで家族での引っ越しは難しい
- 家を購入した
などの理由から転勤はかなりの負担になります。

実際、既婚者は転勤をかなり嫌がってましたし、退職する方もいました
気を付けてほしいのは転勤をしたくないために退社し、飲食店を開業したとしてもなかなかうまくいきません。
開業は計画的に目指しましょう。
ホテルの調理師の年収は低い
飲食店は全体的に年収は低い傾向ですが、ホテルの調理師は特にそうです。
長く働き、役職がつくと給料も上がりますがそれまでは月の給料が20万円以下ということも珍しくありません。
ホテルの調理師として働き納得のいく給料をもらうためには、早めの昇進が必要そうですね。
詳しく年収を知りたい方は、分かりやすくまとめてくれていた記事があったのでご覧ください。
調理師の年収【厚労省発表】ボーナス・都道府県別・年齢別年収推移がわかるページ|年収ガイド
無理を言うお客さんが意外と多い

ホテルには上品なイメージがあり、クレーム等は少ないように思うかもしれません。
しかし実際は自分好みに料理のカスタマイズを希望される方が多いです。
具体的には
- 辛くない料理なのに、辛くしてほしい
- いつもと違う食材に変えてほしい
- 味を変えてほしい
等ですね。

「ホテル」という立場上、なるべくお客さんの要望に応えなければいけません。
またどうしても対応できずお断りしても、納得してもらえずクレームに繋がったこともありました。
ホテルの調理師として働くのであれば、柔軟な対応が求められるでしょう。
新メニューを商品化するまでがきつい
ほとんどの飲食店で新メニューを商品化するには、店長やオーナーといった上司に試食してもらう必要があります。
しかしホテルでは
- 支配人
- 副支配人
- 他の店舗の責任者
とさらに多くの責任者に試食をしてもらうケースが多いです。
試食に必要な人数が増えるので
- 仕込み
- 調理
- 料理の説明
にかなりの時間をとられるのは間違いありません。
試食したメニューに関しても、上司の好み合わないことで再考しなければいけないということも多々あります。
そうなるとお客さんでなく,上司が好きそうなメニューをばかりを考えるようになってきます。

これでは意味がないですよね
簡単には商品化できないというのは知っておきましょう。
ホテルの調理師として働くメリット6選
ここまでホテル調理師の「きつい面」をお伝えしてきましたが、それでも働き続けている人が多いのも事実です。
ではなぜ辞めずに働けているのか?その理由となる「メリット」についても見ていきましょう。
技術が確実に身につく

ホテルの調理師は
- 先輩が厳しい
- 仕込みの量が多い
- 料理にこだわっている方が多い
といった理由から技術が身に付きやすいです。
調理師は技術を身につけておけばどのようなお店でも通用し、給料も高くなっていきます。
調理師として実績を残したいと考えているのであればホテルを選ぶのも悪くないでしょう。

しかしホテルで技術を身につけようとすると、ある程度の年数が必要になってきます。

かなりの忍耐力がいりそうだね…
そこでオススメしたいのが飲食人大学という調理学校です。
飲食人大学は3ヶ月で現場で通用する調理師を育てるをコンセプトにしており、卒業生は
- ミシュランガイドブックに載っている
- 有名店に就職している
- 海外でも就職できている
とかなりの実績を残してくれています。
技術は身につけたいけど下積み期間は短くしたいという方は飲食人大学を選ぶといいでしょう。
もっと飲食人大学について知りたい!
という方はこちらの記事をご覧ください。
高級食材に触れる機会が多い
ホテルはお店の性質上、高級な食材を使うことが多くときには試食で食べることさえできます。
こういった経験は、将来どんな料理ジャンルを選んでも役立ちます。
個人のお店などでは
- 取り扱う機会が少ない
- そもそも取り扱ってない
ので高級食材に対しての技術はなかなか磨かれません。

また何千円とする高級食材を使った料理を何度も食べに行くのは金銭的にも負担が大きいですよね。
「一流の素材を扱える職場で技術を磨きたい」と思うなら、ホテル調理師は魅力的な選択肢でしょう。
非日常の空間で働ける
ホテルは華やかな所が多いです。
おしゃれな雰囲気の場所が職場だと、自己満足度が高くなりますよね。
僕はホテルの他に結婚式場でも働いたことがありますが、とてもおしゃれな作りだったので出勤しても気分が上がったのを覚えています。

残念ながらすぐに慣れてしまいますが…
また調理師をしていると知人が食べに来てくれることがありますが、おしゃれなお店に招くほうが気分がいいですよね。
非日常な空間の職場というのは、メリットの1つといえるでしょう。
キャリアアップの機会が豊富
ホテルの調理師はキャリアアップの機会が豊富なので経験を積みたい方には向いているでしょう。
調理師からシェフ、さらにはエグゼクティブシェフやフード&ビバレッジマネージャーなど、さまざまな役職に昇進することが可能です。

ホテルの規模などにもよりますが5年ほど経験を積めば、部門のサブシェフを任されることもあります

またホテルによっては異なる経験を積むことができ、フレンチからイタリアンなどのようにキャリアの幅を広げることができるのもメリットになるでしょう。
福利厚生がしっかりしている
ホテルは給料が安い代わりに
- 宿泊や食事に社員割引がある
- 社会保険が充実している
- 確定拠出年金制度がある
等の福利厚生がしっかりしていることが多く、僕もホテルで働いていたときは上記のような福利厚生を利用させてもらいました。
僕はホテル在籍中に母親を亡くしましたが、告別式のときに会社が花輪を送ってくれたので参列者に対し恰好がつきました
福利厚生が手厚いのは精神的な支えになってくれるでしょう。
飲食店の開業に有利
ホテルの調理師は飲食店の開業に有利です。
それは先ほど解説したように
- 技術が身につく
- 高級食材に触れる機会がある
に加えて、ホテル出身という経歴が集客につながるからです。

僕の場合でも「ホテル出身」と知ったお客さんが来てくれたことがあります
あなたが働くホテルが有名なほど開業したときは有利といえますね。
開業について興味のある方はこちらにまとめてあるので参考にしてください。
ホテルの調理師の1日の流れ
次は具体的にホテルでの仕事をイメージしやすいように、僕が実際に働いていた1日を表にしました。
出勤 | 10:00前 |
ランチ準備 | 〜11:30 |
ランチタイム | 1130〜14:30 |
休憩&仕込み | 14:30〜17:00 |
ディナー | 17:00〜21:30 |
掃除 | 〜22:00頃 |
事務作業、退勤 | 22:00過ぎ |
それぞれ深堀りしていきます。
早番での作業
ホテルは全員同じ時間に出勤して、同じ時間に帰るということはなく
- 早番
- 通し
- 遅番
に分かれています。
早番はその名の通り、1番はじめに出勤して朝食やランチの準備をします。

僕が所属していた部署は朝食の担当ではなかったので、10時前に出勤していました
ホテルによっても違いますが、朝食を担当するのであれば5時頃には出勤するようになるでしょう。
ランチタイム~休憩
ランチが始まるとオーダーを捌きながら、簡単な切り物といった細かい仕込みをしていきます。
そして、ランチタイムが終わりディナーが始まるまで
- 食事
- 休憩
- ディナーに向けての仕込み
などの時間にあてられます。
もしまかないがあるホテルなら、新入社員が従業員分の食事を用意しなければいけません。

料理を食べた先輩からは「美味しくない」といわれたりしますが、料理を作れる貴重な機会なので楽しかったりします。
ランチの忙しさによって休憩できる時間は変わってきますが、だいたい1時間ぐらいのイメージです。
早番の人は仕込み終わりの17時頃には退勤できるでしょう。
ディナータイム~片付け
夜の営業が始まる前に遅番が出勤することが多いです。
ホテルのディナータイムではセットメニューがないのが一般的なので、単品メニューに対応しなくてはいけません。

「どんな料理に、どの食材が使われているか?」を早めに覚えることが、スムーズな対応の鍵です
ディナータイムが終わりに近付くにつれ
- 片付け
- 掃除
も合わせてしていきます。
上手くいけばディナータイムのラストオーダーの時点で帰ることができます。
事務作業
ホテルによっては
- 報告書
- 日報
などの事務作業が毎日ありますが、基本的にこのような事務作業も新入社員がするようになります。
こんな方はホテルの調理師を選ぶべき!特徴まとめ

きついけどやりがいもあるホテルの調理師。
これでは「自分に向いているのかどうか」迷ってしまいますよね。
僕が考えるホテルの調理師に向いているのは
- とにかく技術を磨きたい
- 高級な食材の知識を得たい
- 忍耐力がある
- 転勤も気にならない
- ずっと調理師を続ける予定
以上に当てはまる方だと、「きつさ」よりホテルを選んだメリットのほうが上回るでしょう。
その際も転職エージェントを使ってホワイトな職場を選んでくださいね。
ホテルの調理師はきついが得られるものも大きい

今回はホテルの調理師のきつさについて記事にしました。
再度おさらいすると、きつい理由が
- とにかく労働時間がない
- 休みが少なく、実質的にはもっと少ない
- 店休日がない
- 上下関係が特に厳しい
- 転勤がある
- 無理をいうお客さんが意外と多い
- 給料が低い
- 新メニューを商品化するまでがきつい
です。
反対にホテルの調理師として働くメリットは
- 技術が身につく
- 高級食材に触れれる
- 非日常の空間で働ける
- キャリアアップの機会が豊富
- 福利厚生がしっかりしている
- 飲食店の開業に有利
です。
今回の記事を読んでホテルの調理師に不安を感じたのなら、就職しないほうがいいでしょう。

僕自身いくつかの飲食店で働きましたが、ホテルで働いていた時が一番きつかったです
しかしきつい理由ばかりでもなく得られるものも大きいので、あなたがどのような調理師になりたいか?をしっかり考え判断しましょう。
どの業種を選ぶにしても飲食店で働くことを考えているならフーズラボに登録することをオススメします。
フーズラボは飲食店に特化した転職エージェントです。
登録料や利用料は一切かからず、場合によっては就職先に対して年収の交渉までしてくれる
ので求職者にはメリットしかありません。
フーズラボについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ホワイトな飲食店で働くことができれば、技術も身につくホテルの調理師はいい職種だと個人的には思います。
そのためにもプロの力を借りて職場選びは慎重になりましょう。
ではでは。