夫婦で自営業を始めるのは信頼できるパートナーと一緒に夢を追いかけられる魅力的な選択です。
パートナーとの自営業は
- 信頼感がある
- 相談しやすい
といったよい面がある一方で、デメリットも存在するので事前に把握しておくのは重要です。

実際に開業後「こんなはずじゃなかった」と悩む夫婦も少なくありません
そこで今回は夫婦で自営業9年目になる僕が、夫婦で自営業を始める前に知っておきたいデメリットとその対策について具体的に解説していきます。
- 夫婦で開業する予定
- デメリットの対策を知りたい
といった方には参考になるので最後までご覧ください。
夫婦で自営業を始める前に考えたいデメリット

私生活と仕事の境界が曖昧になりやすい
夫婦で自営業をしていると、仕事の日はもちろん、休みの日まで一緒に過ごす時間が多くなります。

夫婦の会話の大半が自然と仕事の話題になってしまうことも珍しくありません。
特に仕事に対する温度感やタイミングにズレがあると、ストレスになりやすく
「今は休みたい」
「仕事のことは一旦忘れたい」
と思っているのに、相手が仕事の話を持ちかけてきたことでついイライラしてしまう…というのはよくあるケースです。
「せめて休みの日ぐらい、仕事について考えたくない」と感じている方にとっては、夫婦での自営業は想像以上のストレスになるかもしれませんね。
収入が一本化されるリスク
夫婦で自営業だと家計全体の収入が、ほとんどお店だけに集中してしまうケースが多くなりますが
- どちらかが働けなくなる
- お店の売り上げが予想以上に少ない
- 天災や感染症などで営業できなくなる
といった状況になると、家庭全体の収入が途絶えてしまうリスクがあります。

特に自営業では突発的に働けなくなるリスクは会社員以上に現実的です
- 体調不良
- 子どもの急な入院
など、想定外の出来事はいつでも起こり得るので事前に対策しておきましょう。
喧嘩が仕事に直結するストレス
夫婦で一緒に仕事をしていると、プライベートの感情がそのまま仕事に持ち込まれてしまうことがあります。
たとえば朝の些細な口論がきっかけで、お店の空気がギスギスしてしまい
- 接客がいつものようにできない
- 声かけの回数が減る
- お客さんにも気をつかわせてしまう
といったマイナスの影響がでてしまうこともあります。

家庭の問題が職場の空気に影響するのは夫婦経営ならではの難しさですね
反対に仕事中の意見の食い違いがそのまま私生活に持ち込まれ、家に帰ってもイライラが収まらないということも。
「仕事と家庭の境界がない」のは、特に精神的に大きなストレスになるでしょう。
役割分担に不満が生まれやすい
夫婦で自営業を始めると最初は「二人で頑張ろう!」と前向きな気持ちでスタートしますが、片方に負担が集中し、不満につながるのは珍しくありません。
- 仕込みや調理はご主人
- 買い出し、SNS発信、子どもの送迎などは奥さん

このような役割分担なら奥さんに負担が集中しています
片方に負担が集中していると、大きなストレスやケンカの火種になりやすいので営業に支障がでてしまう可能性もあるでしょう。
夫婦で自営業を円満に続けるための4つの対策
これまでのデメリットを見ると、「やっぱり夫婦での自営業はやめたほうがいいかも…」と感じた方もいるかもしれませんが、事前に備えておくことで十分に乗り越えることができます。
またちょっとしたコツを押さえておくだけで、夫婦で自営業を円満に楽しく続けることも可能。
ここからは、夫婦での自営業を長く続けていくための対策とコツを紹介します。
境界が曖昧になりやすいことへの対策
もし私生活と仕事をわけたいなら事前にルールを作っておくことが対策になります。
「仕事の話は〇時以降は禁止」など時間的なルールを設ける
休みの日は意識的に仕事抜きの会話や外出を心がける
物理的に作業スペースを分けるなど、オンオフの切り替えを“形”にする
上記のような比較的簡単なルールでも決めておくと効果があります。

ルールは開業した後でも変更できると、お互い納得した状態になりやすいでしょう。
収入が1本化されることの対策
収入源がひとつだとリスクは高まるので
- お店の収入に依存しすぎず、副業やネット収入などの複線化を検討する
- 生活費の半年分程度の貯蓄を目標に備える
- 傷病手当金や小規模企業共済、保険の活用も視野に入れる
といった対策は必要です。
特に重要なのは収入源を複数持っておくこと。
よくリスクのために多額の保険に加入している方がいますが、
収入源が多ければ多いほどリスクは少なくなります。

貯金だけでは精神的な不安は消えないので、収入源を複数つくることを意識しましょう
喧嘩が仕事に直結するストレスへの対策
夫婦で営業していると良くも悪くも、お互いの立場が対等なため相手の指摘にも反論するケースが多く、その結果喧嘩に発展してしまいます。
喧嘩がきっかけで仕事に影響があるなら、そもそも喧嘩が起きない仕組みを構築できれば解決しますが、僕が推奨しているのは「仕事中だけの上下関係をつくる」です。
会社員のときは上司に指摘をされて「ムッ…」と感じても、ひとまずは指示に従ったのではないでしょうか?
意見を聞いてもらえないことが喧嘩になりやすいので、上下関係をつくり相手の意見を聞いてみる姿勢が大切。

普段から意見を聞いてもらえれば喧嘩になりにくいのはイメージできますね
または第三者(顧問、知人経営者、信頼できる人)に相談できる環境を整えておけば、冷静に話し合えるので喧嘩に発展する機会は少なくなるでしょう。
役割分担への対策
役割分担をする際には、「お互いの作業内容や負担が見えやすくなる仕組み」をつくることが大切です。

たとえば
- 作業を書き出して見える化する
- 担当を固定化しすぎず、定期的に入れ替えたり見直す機会をつくる
- 「ありがとう」と感謝を言葉にする習慣を意識的に持つ

こうした工夫があるだけで「自分ばかり頑張っている」という気持ちが和らぎ、お互いを尊重しながら長く続けられる関係性が築きやすくなるでしょう。
夫婦で自営業をうまく続けるコツは“思いやり”
僕がおよそ9年間、夫婦で自営業をしてきて痛感するのは「相手を思いやる気持ち」が重要だということ。
どちらかが我慢を続けたり感謝が伝わらなかったりすると、小さなストレスが積み重なって、いずれ大きな不満につながります。
僕の場合だと妻が体調不良のときは
- 少々のオーダーならひとりで対応する
- 子どもの送り迎えにいく
といった感じでサポートしています。そのほかにも
- 疲れていても「ありがとう」と言う
- 相手の意見をすぐ否定せず、まず聞いてみる
といったことでも構いません。
夫婦の強みである「信頼感」を最大限に発揮するには、日ごろから相手を思いやり絆を深めておくことが大切ですね。
夫婦自営業が難しいならワンオペ営業も検討しよう
ここまでを読んできて「自営業をしたかったけど夫婦だと難しいかも…」
と感じたのならワンオペ営業を検討してみてもいいでしょう。
ワンオペ営業は
- 小規模になるので開業費を抑えれる
- 人件費はかからない
- 自分の思うように働ける
など、メリットも多いです。
「ワンオペなんて無理…」
と思うかもしれませんが、店舗の作りやメニュー内容を工夫すれば、決して不可能ではありません。
ワンオペについて学んでみたい!と思ったならこちらの記事を参考にしてください。
夫婦で一緒に働くデメリットは解消できる

今t回は夫婦で自営業をするデメリットと対策について解説してきました。
再度まとめるとデメリットは
- 私生活と仕事の境界が曖昧になりやすい
- 収入が一本化される
- 喧嘩が仕事に直結するストレス
- 役割分担に不満が生まれやすい
の4点でした。
知人の経営者はどうしても合わないためにアルバイトを雇って、奥さんは別の仕事をするようになった、という方もいます。

それも1つの選択肢でしょう
ただ、アルバイトを雇うにも注意点もあります。
僕はせっかく開業した自分のお店なのであれば、一番信頼できるパートナーと一緒に頑張る方がいいと考えています。
まずは夫婦で始めてダメなら他の手段を考える。
このような流れがいいのかな?と思います。
皆さんも自分の価値観で判断して下さいね。
また夫婦の開業についていろいろ知りたい方はこちらにまとめてあるので参考にしてください。▷夫婦で自営業を9年続けてわかったことリアルなメリット・デメリットと体験談
ではでは。