「お互いに気心がしれているパートナーと一緒に働けたら仕事が楽しそう」
「他の従業員との関わっていかなければいけないのが面倒…」
このような思いから夫婦での起業を考える方は多いでしょう。
確かに夫婦で起業すると、安心感や意思決定の速さといった大きなメリットがあります。
しかしその一方で、収入の一本化や価値観のズレなど、夫婦だからこそ直面する大きなリスクも潜んでいます。

実際に僕自身も夫婦で経営していると「思っていた以上に大変だった…」と感じたことが何度もありました。
夫婦経営のリアルな苦労や、しかったことを知りたい方は、子育てや収入についても触れているこちらの記事をご覧ください。▷夫婦で自営業を9年続けてわかったリアルなメリット・デメリットと体験談
そこで今回は、夫婦経営の
- メリットとデメリット
- 注意点
- 失敗しないためのコツ
について解説するとともに、記事後半には夫婦で起業の代替案である「転職」についても触れているので
- 夫婦で一緒に働きたい
- 今の働き方に迷いがある
このような方は悩みが軽減されるヒントになるので、最後までご覧ください。
夫婦で起業する場合の3つの選択肢
夫婦で起業する場合、主に3つの選択肢があります。
それぞれの特徴やリスクをざっくり押さえておくことで、あなたに合った方法を見極めやすくなります。

どの選択肢が向いているか夫婦で話し合いながら読み進めてみてくださいね。
夫婦で別々の個人事業主になる
まずは夫婦それぞれが個人事業主として起業する方法です。
お互いが別々の事業をするので協力しあえる場合もありますが、どちらも収入が安定しないのでリスクは高め。

また夫婦ともに国民健康保険なら扶養には入れないので、保険料の負担も大きくなりやすいです。
収入の不安定さや保険料の高さより、お互いの好きな働き方がしたい方には選択肢のひとつになるでしょう。
片方だけが個人事業主になる
ふたつめは一方が個人事業主として起業し、配偶者を雇用する方法。
お互いに協力しあい、お店を成長させていくのは何ともいえない達成感があります。
夫婦が常に一緒にいることによる弊害はあったりしますが、それでも個人的には一番オススメです。

デメリット以上のメリットがあるからですね
青色事業専従者給与などの節税制度もあるので、初めての起業にはこの形を主軸にするといいでしょう。
青色事業専従者給与についてはこちらの記事を参考にしてください。▷家族の給与を経費にできる青色事業専従者給与とは?必要な届け出についても解説
片方が法人を設立する
最後は法人を設立して夫婦で経営する方法です。
節税効果は高いですが
- 設立にコストがかかる
- 確定申告などの手続きが複雑
- 社会保険に加入しないといけない
というように本業以外の負担も大きくなりやすいので、初めての起業では慎重に判断しなけれいけません。

開業後でも「法人成り」といって法人化することはできるので
- まずは個人事業主でスタート
- 順調にいけば法人化
このステップで進めていくといいですね。
夫婦経営だからこそ発揮できる4つの強み
夫婦でお店を始めるのは「信頼できるパートナーと力を合わせられるのは心強い!」と感じる方が多いでしょう。
実際、夫婦で一緒に働くことにはやはり大きな強みがあります。
ここでは「始める前に知っておきたい代表的なメリット」を整理したので確認しましょう。
意思決定がスムーズ
お店をしていると
- 新メニューを始める
- イベントの提案
- 商品の値段変更
など、日々の小さな判断から大きな方向転換まで決めなければいけないことは多いです。
通常なら時間がかかるようなときでも、夫婦だと決定までスムーズ。

僕のお店だと新メニューを考えた次の日には化した商品化したこともあります。
このスピード感は夫婦でしているからこその強みですね。
信頼できるから精神的な負担が減る
夫婦は日々の生活を共にしているからこそ、最も信頼できるパートナーです。
仮に人を雇って営業するとなると
- 短期間で辞める
- 急に来なくなる
- 会計でミスをする可能性
というように、どうしても安心して任せにくい状態。

夫婦でしているとこのような心配はなくなるので本業にも集中できます。
また経営において「ひとりで抱え込まなくていい」というのも大きなメリット。
信頼できる相手と意見を出し合うことで
- 冷静さを保ちながら決断できる
- 事業が安定する
- 多面的な見方ができる
お店を長く続けやすくなります。
自分以外でも頼れる方がいるのは、想像以上に大きいメリットに感じるでしょう。
人件費・所得分散での調整が可能
夫婦で自営業なら青色専従者給与などの制度を有効活用することで、所得の分散ができるため節税しやすい側面があります。
また
- 収入が多いければパートナーの給料を高く
- 収入が少ないときは給料を低くする
といったようにコントロールできるのも強みです。

このあたりは「経費算入の妥当性」や「税務署に認められる給与水準」といった判断が関わるため、専門的な知識が不可欠。

無理な節税はリスクにもつながりますので、必ず税理士など専門家に相談しましょう。
▷税理士に一度相談してみたい方はこちらの記事【税理士の探し方完全ガイド】初めてでも失敗しない選び方とおすすめの方法をご覧ください。
プライベートと仕事を柔軟に調整できる
夫婦で一緒に働いていると、プライベートと仕事のバランスを取りやすいのも大きなメリットです。
別々の会社に勤めていると
- 休みの希望を出すのに気を使う
- 繁忙期には思うように休めない
というように簡単ではありません。
夫婦経営なら「この日は休もう」と柔軟に決めやすいので
- 子どもの行事に参加できる
- 家族旅行などのスケジュールを合わせやすい
といった魅力があります。
もちろん業種によっては休みを取りにくいこともありますが、前もって予定を立てておけばほぼ希望通りに調整できるので、精神的負担も少ないです。

希望した日に気兼ねなく休めるのは夫婦経営ならではのメリットですね
夫婦経営ならではのメリットをもっと詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください▷夫婦で自営業は難しい!?4つのメリットと成功の秘訣
仲がよくても要注意!夫婦経営のリスク
親しいがゆえのメリットもたくさんありますが、仲が良いほど意外な落とし穴にハマりやすいのも事実。
そこで夫婦経営ならではのリスクについて解説してきます。
「こんなはずじゃなかった…」
とならないように、リスクについてもしっかり認識しておきましょう。
私生活と仕事の線引きが難しい
夫婦経営では仕事、休みに関わらずほとんどの時間を一緒に過ごすことがほとんどです。
会話も
- どうすれば売り上げが伸びるか?
- 営業時間や休み
- 競合について
といった「仕事の話」が中心になりがちです。
その結果休日でもお互いに経営のことが頭から離れず、プライベートと仕事の境界が曖昧になってしまうことも…。
線引きができないことで心が休まらず、心理的な負担がじわじわと積み重なるのも大きなリスクといえますね。
収入が一本化されるリスク
夫婦で同じ仕事をしていると収入源がひとつになってしまうので
- 仕事を休まないといけないほどのケガをしてしまった
- 病気などから入院するようになった
といったときに、働けないことで収入が途絶えてしまうリスクがあります。
実際、僕も体調が回復せず1週間ほど仕事ができなかったことがあり、そのときはかなり金銭的な不安なは大きかったです。
詳しい体験談はこちらにまとめていますので、あわせてご覧ください。▷自営業なのに1週間休んでしまった…実際に体験したことと対策を教えます。
特に夫婦経営ならあなただけでなく、家族の誰かに何か起こっても働けなくなるのでより収入が途絶えるリスクは高いです。
本業だけに頼らず、複数の収入源を持つようにするといいですね。
夫婦喧嘩が経営に直結してしまう

夫婦でしていると意見をストレートにぶつけてしまうので、喧嘩になりやすいです。
すぐに解決できれば問題ありませんが、互いに譲らずギクシャクしたまま営業に入ってしまうことも。
そのようなときはお店の雰囲気に悪影響が出てしまい、結果的にお客さんにまで伝わってしまう恐れがあります。
- 感情を持ち込まない工夫
- 意見がぶつかったときのルール作り
を明確にしておくことが、夫婦経営においては重要ですね。
夫婦の喧嘩の原因や対策についても触れているこちらの記事を参考にしてください。▷【解決策アリ】夫婦で飲食店自営業でも喧嘩をしない方法と対処法
役割分担の偏りが不満につながる
夫婦経営では本業の中心を担う方にどうしても負担が偏りがちです。

例えば飲食店なら、調理や仕込み新メニューの考案などキッチンに負担が集中しやすいです。
一方で本業以外の子育てや洗濯などの家事は、主に奥さんにのしかかることが多くこちらも大変さがあります。▷「もう無理…」飲食店妻がしんどい時にやってよかったこと
どちらが「より大変か」を比べるのではなくそれぞれ違った形で負担があるので。お互いの見えない苦労に気づけないと、不満が蓄積して関係悪化につながる可能性があります。

役割分担を明確にしつつ、お互いに協力するようにして負担を減らしましょう。
夫婦で一緒に働くことのデメリットや対策について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。▷夫婦でずっと一緒だとツライ?自営業のデメリットと円満に続けるための対策
夫婦で起業する時の注意点 本業以外に必要な“見えない業務”
夫婦で自営業を始めるとどうしても「本業」のことだけを考えがちですが、実際には法律や税務に関する業務がつきまといます。
特に以下のような手続きは避けて通れません
- 確定申告
- 源泉徴収の対応
- 労働保険の手続き
- 社会保険の加入・変更
これらを怠ると後になって追徴課税や罰則が発生することも。
僕自身もアルバイトを雇った際に必要書類の提出が遅れ、市役所から注意を受けた経験があります。

自営業を続けていくにはさまざまな知識が必要なんだと実感しました
そんなときに役立つのが電子書籍での学び直し。
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- スマホで読めるので持ち運びの手間がない
- スキマ時間で気軽に読めるので時間をムダにしない
- 幅広いジャンルが揃っているので欲しい本が見つかりやすい
電子書籍ならではのメリットがあるので、まずは気軽にチェックしてみましょう。
はじめからすべてを理解するのは難しいので、まずは「確かこのようなことがあったはず」とひっかかるだけで大丈夫です。
徐々に覚えていき必要なら専門家に相談するといいですね。
起業が大変に感じたなら転職も悪くない選択肢

これまで夫婦での開業について解説してきましたが
「思っているより大変そう…」
このように感じたかもしれません。

実際、夫婦経営はやりがいもありますが苦労も多いです
そこで改めて開業の理由について考えてほしいのですが、どうしても起業してみたいという気持ちが強いなら思い切って決断してもいいと思います。
しかし
- 今の上司と合わない…
- 給料や待遇面に不満がある
- 同僚や後輩に先に出世されたので見返したい
このような気持ちから夫婦経営を考えているなら、開業ではなく「転職」のほうがいい選択肢になる可能性があります。
転職は
- 今より休みと給料が増えることもある
- キャリアアップにつながる可能性
- 転職エージェントを使うと手間はほとんどかからない
といったように、リスクはほとんどありません。
気に入った会社がなければ無理に転職する必要はないので、まずは転職エージェントに話を聞くだけでもいいかもしれませんね。
夫婦経営が失敗するのはお互いの考えがズレてしまうから
夫婦経営が失敗する主な原因はお互いの意識や行動がズレること。
この「ズレ」が重なってくると一緒に仕事をするのが嫌になり、夫婦の強みが活きてきません。
「夫婦で起業するんじゃなかった…」
とならないように、次は僕の実例を紹介します。
筆者もおちいった、夫婦経営が失敗しそうになった実例を紹介
僕は念願のお店だということもあり
- どうすればもっとお客さんを増やせるだろう?
- どんな料理が人気になるだろう?
- こんなサービスをしたら喜んでもらえるのでは?
このようなことを常に考えていました。
当然妻にも「どうすればよくなるか?」をいろんな角度から考えてほしいと思ってましたが、日々の営業をこなすだけで満足している状態。

これは妻の中で「手伝ってあげている」という気持ちが強かったからだと思います。
改めてふたりで
- どんなお店にしていきたいか?
- 休みの取り方や働き方
- 作業の役割分担
について話し合い、経営者のひとりとして仕事をしてほしいことも伝えました。

今では価値観をすり合わせたことお互いで歩み寄れるようになり、トラブルが減ったと感じています。
ズレないように定期的に意見をすりあわせ、ふたりが同じ価値観を持って仕事をするのが夫婦経営を成功させる秘訣になるでしょう。
まとめ 夫婦で起業は魅力もあるが、冷静な判断が大切
今回は夫婦での起業について
- メリット
- デメリット
- 注意点
- 起業以外の選択肢
について解説しました。
夫婦で起業する協力し合える安心感や意思決定の速さなど、大きなメリットがありますが
- 収入の一本化
- 価値観のズレ
このようなことに注意しないと「こんなはずじゃなかった…」と後悔する可能性もあるので
- 役割分担を明確にする
- 夫婦で将来の方向性を話し合う
といった対策は必要でしょう。
夫婦での起業が思っているよりハードル高く感じたのなら、経済的なリスクを抑えながら自分に合った働き方ができる「転職」も悪くない選択肢です。

大切なのは「自分たち夫婦にとってどんな働き方がベストか」を冷静に考えることですね
夫婦で経営するか、転職や別の道を選ぶか──。
どちらにしても夫婦が互いに安心して続けられる働き方を選びましょう。