飲食店で働いていると自分のお店を持ちたいと考える方は多いです。
中には実際に開業を決意された方もいるのではないでしょうか?
しかし改めて開業について調べてみても何から始めればいいか分からない…という方も少なくありません。
- 開業資金はどのくらいかかるの?
- 開業に必要な資格はなに?届け出は?
- 物件の探し方がわからない…
このようにさまざまな疑問が生まれますよね。

僕も初めは開業に向けてどう進めていけばいいかわからなかったので苦労しました。
飲食店を開業するのはかなり大変に感じるかもしれませんが、手順さえ把握していればそこまで難しくありません。
そこで今回は夫婦で飲食店を経営して9年目になる僕が、飲食店の開業に向けての手順を解説していきます。
- 初めて飲食店を開業する
- 独立したいけど具体的なステップがわからない
- 小規模店舗に特化したアドバイスが欲しい
といった方は、今回の記事が参考になるので最後までご覧ください。

コンセプトを考える

開業したいな、と考えたときにまず決めるのはお店のコンセプトと開業目的です。
飲食店といっても様々な店舗があるので、あなたがどのようなお店にしたいかを考えなければいけません。
考えるといっても

今まで中華をしてきたから中華料理屋さんにしよう
とか

コーヒーが好きだからカフェにしようかしら
これだけではダメで、もっと掘り下げて考える必要があります。
例えば「中華料理屋」をするのであれば
- 特別な日に利用されるような高単価なお店
- 大衆向けのお店
のどちらにするかでかなり変わってきます。
そして仮に「高単価なお店」に決めるとすれば
- 落ち着いた空間
- お洒落な雰囲気
- しっかりした接客
といったことが求められますよね。

コンセプト次第でお店は変わってきます。
開業を失敗しないためにはコンセプトをどれだけ煮詰めれるかにかかっているといっても過言ではありません。
コンセプトについて詳しく知り、飲食店開業の成功率を高めたい方はこちらの記事を参考にしてください。
小さい飲食店の開業資金はおよそ1000万

一般的に飲食店の開業には1000万円ほど必要といわれていますが
- 店舗の広さ
- 工事の内容
- 必要な厨房機器
- スケルトンか居ぬき物件か
などによって大きく変わります。
まれに自己資金ゼロで開業する方がいますが
- 借入額が増えるのでリスクが高くなる
- 精神的に苦しくなる
ので、オススメしません。
また目標に向けての貯金は経営の練習にもなるので、少なくても百万円は自己資金で用意しましょう。

特に物件費用と内装工事は金額の幅が大きく、開業資金を左右するポイントになります。
開業資金については
- 費用の抑え方
- 調達方法
についても書いてある、こちらの記事を参考にしてください▷小さい飲食店の開業資金はどれぐらい?実際にかかった費用の内訳を公開
短期間で開業資金を貯めたいならリゾートバイト
借り入れなどを利用する方がほとんどなので開業資金の1000万すべてを用意する必要はありませんが、それでも数百万は準備しておくほうがいいです。
そのため数年単位で貯金をしていくわけですが、すぐに飲食店を開業したい方はリゾートバイトを検討するといいでしょう。
リゾートバイトは
- 時給が高い
- 住み込みがほとんどなので生活費をかなり抑えれる
という理由から1年で200万貯めることも目指せます。
なるべく早く開業したい!と考える方は検討してみるといいでしょう。
開業資金を抑えたいなら間借り営業を検討する
開業資金に数百万も必要となれば

そこまで多額の資金を用意できない…
と思うかもしれません。
それでも飲食店の開業をしたいなら間借り営業を検討してみてもいいでしょう。
間借り営業は既存の店舗の一部を使わせてもらい営業する方法ですが
- 開業資金を抑えれる
- 開業できるまでの期間が短い
といったメリットがあります。
ただし間借り営業ならではのデメリットもあるので、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
▷初期費用を格段に抑えれる間借り営業とは?デメリットも合わせて紹介
ワンオペ営業も悪くない選択肢
ひとりで接客や調理、レジなどすべての作業をこなすので、ブラックな印象があるワンオペ営業ですが
- 開業資金を抑えれる
- 自分のペースでできる
- 雇用や指導の手間がなくなる
といったメリットがあるので悪くない選択肢です。
もちろん負担はかなり大きいので、開業前にオペレーションやメニューの内容をしっかり考えておかなければいけません。

僕は平日の夜だけ、数年以上ワンオペですが思っているより何とか対応できています
他の人と一緒に作業するのに抵抗がある方は、ワンオペ営業を検討してみるといいでしょう。▷【実体験】飲食店のワンオペ営業を成功させるコツと注意点
小さな飲食店はメニュー作りが成功のカギ

飲食店の魅力を決める大きな要素のひとつが「メニュー」で、どんなに立地が良くても魅力のないメニューだとリピートしてくれません。
小さな飲食店の場合
- 看板メニューを作る
- 視覚的にわかりやすいメニューにする
- メニュー数を増やしすぎない
など、メニューを作るうえでのポイントがいくつかあります。
メニューの作り方で売り上げを左右する場合もあるので、よく考えて作成しましょう。

また個人のお店だと予算の関係でメニューを業者に注文しにくいと思いますが、今では自作でおしゃれに作れます。
メニューの注意点や自作する方法について知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。▷リピート客を増やす!小さな飲食店でもできるメニュー表の作り方
小さな飲食店の物件探し 開業で失敗しない選び方

飲食店にとって物件は、成功できるかどうかに直結する要素です。
ところがいざ探し始めると
- どのような立地がいいのか?
- 家賃はどれくらいが適正なのか?
と悩む方は少なくありません。
また数ある物件から自分にあったものを見つけるのは大変なように思いますが、コンセプトがしっかりと決まっていればそこまで難しくありません。
例えば
- 繁華街
- 海沿い等のロケーションがいい場所
このような物件が候補になるのに対し
- サラリーマンが多いオフィス街
- 大学や高校といった学校の近く
と、候補になる物件は違ってきます。
最近だとネットで多くの物件を見れるので、相場を把握するためにも見続けるのは大切です。
物件は今後の経営に影響するので、安易に決めるのではなく根気強く待つのも必要。

僕も理想の物件に出会うまで1年ほどかかりました
といっても
- 立地がよく
- きれいで
- 家賃が安い
このように全てを兼ね備えた物件はありません。

物件を選ぶためには「何か」を妥協しなければいけないことは意識しましょう
物件の探し方については下記の記事が参考になります。
こういう物件を選ぶといい、という所まで解説しているので参考にしてください。
物件を探しだしたタイミングで退職を検討する
物件を探しだしたのであれば退職するタイミングですが、全く見つかっていないのに仕事を辞めるのはオススメできません。

物件探しは時間がかかりやすく、生活費の確保が難しいからですね
とはいえ、いい物件が出てきてから仕事を辞めようとしても
- 人手不足などを理由にすぐ辞めれるとは限らない
- 物件を抑えるためには契約する必要があるので、辞めれない期間無駄な家賃を払わなければいけない
といった可能性があります。


因みに僕は先に退職し、物件が見つかるまで派遣社員として働きました。
派遣社員と聞くとネガティブなイメージを持つかもしれませんが
- 社会保険に入れる
- 自分のタイミングで辞めれることが多い
ので物件が見つかるまでの期間、仕事をするには都合がよかったりします。
会社の状況ですぐには辞めれなさそう…
といった方は派遣社員も検討してみてくださいね。
飲食店の開業に必要な資格と届け出

飲食店を開業するためには
- 食品衛生責任者
- 防火管理者
の2つの資格が必要です。
どちらも有効期限がなく、1万円ほどの講習で取得できるので時間がある時に受けておくといいですね。
必要な届け出としては
- 食品営業許可
- 防火対象設備使用開始届
のふたつがあり
- 個人事業の開廃業等届出書
- 所得税の青色申告承認申請書
は絶対に必要な届け出ではありませんが、提出しておくと税金上のメリットが得られます。
小さな飲食店の開業に必要な資格と届け出一覧
改めて表でまとめると以下の通りです。
種類 | 必要なもの | ポイント |
---|---|---|
資格 | 食品衛生責任者 | 1日講習・1万円前後。飲食店には必須。 |
防火管理者 | 店舗の規模によって必要。講習は2日間程度。 | |
届け出 | 食品営業許可 | 保健所への申請が必要。開業前に必ず取得。 |
防火対象設備使用開始届 | 消防署へ提出。防火管理者とセットで必要。 | |
任意提出(推奨) | 個人事業の開廃業等届出書 | 税務署へ提出。事業開始を届け出る書類。 |
所得税の青色申告承認申請書 | 青色申告の特典を受けられ、節税につながる。 |

開業準備に取り掛かると意外とおろそかになるので、時間のあるときに早めに提出しておきましょう。
資格の取得方法や届け出の場所のついて詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
▷飲食店開業に必要な資格は2つ。取得の仕方と必要な届け出についても解説
内装業者の選定

開業にかかる費用を大きく左右する内装費。
内装業者によっては仕上がりが悪いのに料金は高いこともよくあるので相見積もりをとるのが重要です。
複数の業者に同じ内容の見積もりを依頼すること。価格の比較がしやすい
当然高すぎる業者を選ぶ必要はありませんが、安すぎる業者も注意が必要。

内装工事は見た目では分かりにくくても、手を抜いて仕上げることができるからです
そこで重要になってくるのが
- 工事の内容
- 話した印象
- 他社と比べて安くなる理由
この3点ですが、信頼感も業者を選定するには大事なポイントです。

依頼主は内装に関して知識がない方が多く、どうしても業者さんの言いなりになるケースが多いからです。
少し割高でも
- 提案してくれる内容に納得できる
- 依頼主のことを考えてくれている
と感じたのなら、その内装業者を選ぶといいでしょう。
内装費こちらの記事をご覧ください。▷飲食店内装費用の相場はどれぐらい?安くするためのポイントも紹介
内装業者さんとは開業後もお世話になるので、値段だけでなく人間性も考慮しよう
開業前に周辺店舗への挨拶はするべき
工事が始まればオープン日も決まるので
- SNS
- チラシ
- 張り紙
などを使って集客に向けて行動していきます。
その際に多くの方が忘れがちなのが、周辺店舗への挨拶。
よく周辺店舗を敵として考える方がいますが、それは間違いで同じ地域で仕事をする仲間です。

僕は開業前に挨拶にいきましたが、そこから交流が始まり仲良くさせてもらってます。
挨拶に行くのは緊張すると思いますが、今後のためにも
フランチャイズも検討してみる
開業したい気持ちはあるけど知識や技術に自信がない、という方はフランチャイズでの開業も検討してみましょう。
フランチャイズは本部にメリットが多いですが、中には稼ぎやすいお店もあるので悪いものではありません。
どのようなフランチャイズを選ぶ基準などについてはこちらの記事をご覧ください。
不安で開業に踏み切れない場合

繰り返しになりますが、飲食店開業には多くの資金が必要です。
開業資金を自分で用意できればいいですが、ほとんどの場合は借金をして開業するようになるでしょう。
そのため
開業したいけど失敗して借金が残ったらどうしよう…
と考える方も多いです。

僕は600万円を借りて開業しましたが、本当に返済できるか正直不安でたまりませんでした
この不安を解消するには
返済できるように頑張る
ことはもちろん
失敗したらどうなるか?
を理解しておけば大丈夫です。
不安に思うのは知らないから、知ることで不安を解消できることは多いです。
もし気持ちの面で開業に踏み切れないのであればこちらの記事を参考にしてください。
飲食店を開業するまでの期間はおよそ1年

開業を計画してから実際にお店をオープンさせるまでの期間は、およそ1年間です。
あまりにも開業までの期間が短いとコンセプトが定まっていなく、準備不足になることが多いです。
反対に、計画してから開業まで長すぎると
- 機会損失につながる
- モチベーションを維持しにくい
といったデメリットがでてくるので、1年を目安に逆算して計画していくといいでしょう。
飲食店開業をやめておいたほうがいい方の特徴
飲食店開業には向いてなく、「やめておいたほうがいい方」もいます。
あなたが飲食店の開業をしたいならやめたほうがいい方の特徴に当てはまってないか確認してくださいね。
飲食店開業に失敗しないために
誰しも飲食店の開業の失敗を避けたいと思うはずです。
飲食店の失敗パターンはおおよそ決まっているので、それを知っておくだけでも生き残りやすくなります。
開業に失敗したくない方はこちらの記事を参考にしてください。
【生存率10%】飲食店開業が失敗する4つの理由を実例を元に解説
飲食店開業の手順が理解できれば今から準備を進めよう

今回は小さな飲食店を開業したい方へ向けて手順を紹介しました。
「開業する」と聞くとハードルが高く感じるかもしれませんし、色々な手続きが必要なことを知り大変に思った方もいるでしょう。
開業への判断は大きいお金が動くため、慎重に判断したほうがいいです。
しかし
手続きに関しては、そこまで難しく考えずに進めていけば終わっていくので
心配しなくても大丈夫です。

僕も開業したばかりは知らないことばかりで、遅れて手続きをしたことも多くありました
そして開業してからも苦労したことはありますが、それでも開業をして本当によかったと思えるぐらい、自営業という働き方が好きです。
自営業は大変ですがその分やりがいもあります。
あなたがこの記事をきっかけに飲食店を開業し、「楽しい」と思える働き方ができていると嬉しいです。
ではでは。